脱原発福島ネットワークより市民のみなさんへ
2003年7月31日、福島県に下記の要望書を提出しました。
保安院は、福島第一原発3号機・5号機及び福島第二原発1号機の「安全宣言」を出し
ていますが、
佐藤知事は「霧がすべて晴れた状況ではない」と、3機の再稼働には慎重です。
福島県は「国の報告を鵜呑みにできない」と、
県独自で保安院の安全確認の内容を検証することになりました。
●県側の話(原子力安全対策グループ:村田参事)
1 国が法令に基づき安全を一元管理。国と事業者の緊張関係が必要。
2 県は、県民の安全と安心を最優先。国の安全確認を検証する。
3 保安院に98項目、東電に48項目の質問状を提出した。(未期限、非公開)
4 質問は、再循環系配管などの点検について、
いつ誰がどのように安全確認にしたのか、プロセスを聞いている。
また、点検しない個所についてはその理由を聞いている。
5 まず、事実関係を明確にした上で一定の判断をして、県民に公表する。
●市民側は、
要望書にそって説明した上で、完全点検を求めました。
検証にあたっては、
疑惑の国の定期検査記録を是非検証するように求めました。
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福島県知事 2003年7月31日
佐藤 栄佐久 殿
福島第一原発3・5号機、第二原発1号機の
完全点検と安全確認検証についての要望書
日頃の原子力行政に対する御努力に敬意を表します。
7月11日、東京電力は福島第一原発6号機の原子炉を再稼働し、7月18日には原
子力安全・保安院が、福島第一原発3号機・5号機及び福島第二原発1号機の「安全宣
言」を行いました。国と事業者は、なお稼働率を上げるために、ひび割れ点検なしで
全原子炉を再開させるつもりです。
貴職が「霧がすべて晴れた状況ではない」とし、県独自で保安院の安全確認の内容を
検証することに対し、県民の安全と安心を確保する立場から、積極的に歓迎いたしま
す。
私たちの基本的視点については、6月3日付「福島原発のひび割れ問題と再稼動につい
ての要望書」に記載しました。わたしたちは、あらためて再循環系配管継手の全溶接
線の点検等を強くを求め、点検なき運転再開とひび割れ運転に警鐘を発したいと思い
ます。
今回は、その後明らかになった点も含めて、県として、検証していただきたい点につ
いて、具体的項目を提案いたします。福島県におかれては十分精査し、原子炉の安全
と県民の安心の確保ために、万全を期すよう要望いたします。
. ひび割れと点検―安全確認の検証
1 再循環系配管の国の定期検査記録
7月4日保安院は、市民グループの質問に応え、再循環系配管ひび割れについて、電
力の自主点検でひび割れが見つかりながら国の定期検査で「異常なし」となっていた
問題について、従来の説明(検査方法の感度が異なる)を変更し、国の定期検査でも
実はひび割れが検出されていたと認めました。
この件で東京電力は、実測値の情報公開を拒否していますが、定期検査の記録を鵜呑
みにして検査対象を限定し、未点検箇所を残して運転の再開を行うことの危険性が、
改めて明らかになりました。
県民の安全と安心を確保する立場からは、未点検箇所の全ての点検が必要であると、
あらためて提案します。
その上で、今回未点検箇所の部分に関する、国の定期検査の記録確認は、重要なポイ
ントです。過去の記録確認でひび割れが発見されていれば、交換する必要があるとい
うことになります。ちなみに、新潟県は柏崎・刈羽4号について実施しています。
確認すべき箇所は、最低でも再循環系配管継手、再循環系配管と圧力容器の接続部
および、ジェットポンプ計装配管と原子炉圧力容器の接合部などです。これらは、新
潟県や浜岡原発でも確認している箇所です。
1) 過去5年間の定期検査で「異常なし」のものにひび割れ発見
過去5年以内の定期検査で異常なしの継手を今回検査して、女川1号で1箇所、浜岡3号
で3箇所、柏崎・刈羽4号で1箇所ひび割れを発見しています。女川は前回調べたところ
でした。深さの数値が公表されていますが、2〜3ミリあります。実測したら相当に深
いひび割れであったら、過去5年以内を除外する妥当性や、2ミリ以上のひび割れは必
ず検知されるとの前提が崩れます。
2) 東京電力の供用期間中検査規定違反
電気事業法で規定された原発の供用期間中検査についての日本電気協会電気技術規定
(JEAC4205-2000)では、「点検でひび割れが認められた場合、当該点検期間中に予
定点検箇所数と同数の追加点検を行う」とされています。
これまで検査でひび割れが発見された東北電力・女川1号機と中部電力・浜岡1・3・4
号機は、再循環系配管の全継手を追加点検しました。その結果、過去5年間に検査し
て「異常なし」の継手でも今回ひび割れを発見したのです。女川原発2号機でもひび
割れが見つかったため、追加で全継手を点検する予定です。これは原子力安全・保安
院の4月17日付け文書に従ったものですが、東京電力はこれを遵守していません。東
電の対応は検査規定の違反です。
違反した東電を容認している保安院も問題です。保安院は、市民グループに対し「人
手不足で仕方なく容認したが、理想的には全数今回検査が望ましい」と、回答してい
ます。これは、熟練検査員の人数が少なく、被曝線量が一杯ということと推察されま
す。点検なくして安全はありえません。検査を省くのは異常で危険な判断です。安全
最優先ならば、しばらく原発を止め放射線が減衰してから、検査するのが適正な対処
です。
保安院には「配管の交換より全取替が望ましい」との意見もあります。ひび割れの
可能性を残して運転を容認するのではなく、従来通り新品同様にするのが、安全側に
立った行政手法です。
3) 再循環系配管のひび割れ進展評価
再循環系配管のひび割れ進展評価については、果たして十分なデータにもとづくもの
か、疑問が残ります。福島第二でのひび割れ部材の切り出し点検の評価とその解析は
どうなのか。特に今回のひび割れで問題となる、溶接部金属に入った場合のデータ
は、十分なデータが進展評価に反映されたとは思えません。どのデータを使ったのか
もなかなか確認できない状態です。
4) シュラウド未検査の問題
福島第一・3号機の新シュラウドは、今年9月には供用開始後5年を迎えます。国の
「発電用軽水型原子炉施設の安全機能の重要度分類に関する審査指針」では、シュラ
ウドは「その損傷又は故障により発生する事象によって、炉心の著しい損傷、又は燃
料の大量の破損、を引き起こすおそれのある構築物、系統及び機器」としており、未
点検のまま運転するのは問題です。
また、シュラウドにひび割れがある場合の健全性評価が妥当なのか、十分な検討が
なされているのでしょうか。東京電力がNRCの指摘に沿って検討したのが唯一の根拠
としたのでは困ります。NRCの検討も不十分と指摘する専門家もいます。
5) 県独自の原子力保安体制の確立
司法も認定するように、原子力発電所は潜在的な危険施設です。国の発表にもかかわ
らず、不正炉をはじめ全原子炉の安全について、国と事業者に対する福島県民の信頼
は回復していません。県民は、安全が確保されていると信用できずにおり、とうぜん
安心の境地にはありません。
いま福島県には、独自の原子力保安体制の確立に取り組むことが求められていま
す。
原子力安全対策グループを再編強化し、原子力保安専門官を配置することや東京電力
との「発電所周辺地域の安全確保に関する協定」を改定補強することなどです。
.要望事項
1 完全点検
1)福島県は、国と東京電力に対し、供用期間中検査についての日本電気協会電気技
術規定(JEAC4205-2000)「点検でひび割れが認められた場合、当該点検期間中に予
定点検箇所数と同数の追加点検を行う」を遵守し、完全点検するよう求めること。
2)再循環系配管継手の内SUS316L材未点検部分である福島第一原発3号機の40箇
所、同5号機の92箇所、第二原発1号機の29箇所など全原子炉の再循環系配管継
手の溶接線について、全数点検を行なうよう求めること。
3)再循環系配管継手及びシュラウドの溶接線のうち応力腐食割れ緩和策を施したと
する部分についても点検するよう求めること。
4)再循環系配管継手のうち過去5年間(4定検分)に行われた定期検査により、ひ
び割れが見つからなかった箇所についても、一斉点検するよう求めること。
5)福島第一・3号機の新シュラウドについて、点検を求めること。
2 安全確認検証
1)国の定期検査の記録を確認し、ひび割れが発見されていれば、交換させるこ
と。最低限、再循環系配管継手、再循環系配管と圧力容器の接続部、ジェットポンプ
計装配管と原子炉圧力容器の接合部などの箇所は確認すること。
2)「電力の自主点検」でひび割れを確認しながら「国定期検査」で「異常なし」と
した、福島第一原発3号機の再循環系A系入口付近溶接部FWRSA-2及びB系入口付近
溶接部FWRS1-B-2の第13回定期検査時の「異常なし」報告について、実測値と改ざん
の有無を確認すること。また、福島第一原発1号機A系入口1-W-02、福島第一原発4
号機A系入口1-FW-13、福島第一原発5号機B系入口W-R5-B3-13、福島第二原発3号
機B系入口661-101-F05、福島第二原発3号機B系入口661-B06-S02、福島第二原発3
号機B系出口661-101-F08についても、同様にすること。
3)再循環系配管のひび割れ進展評価について、溶接部金属に入った場合のデータ
は、どのデータを使ったのか、十分なデータが進展評価に反映されたのか、確認する
こと。
4)シュラウドの未検査の問題について、ひび割れ進展評価が妥当なのか、確認する
こと。また、シュラウドにひび割れがある場合の健全性評価が妥当なのか、確認する
こと。
3 県独自の原子力保安体制の確立
1)原子力安全対策グループを再編強化し、原子力保安専門官を配置すること。
2)東京電力との「発電所周辺地域の安全確保に関する協定」を改定補強すること。
具体的に、@事前予告なしの立ち入り調査権、原記録の提出や必要個所の撮影等閲覧
持ち出し権の確立。A調査結果に伴う改善勧告権の確立。B安全確保技術連絡会安全
対策部会の強化、批判的な学識経験者の委員への指名。C住民による調査請求権の容
認。D労働者被曝低減の追加。E違反時の罰則規定の追加。
4 情報公開と県民合意
1)福島県は、県民レベルでの情報公開と安全確認のため、広範な県民参加を保証
した仮称「県原子力情報会議」を設置すること。
2)福島県は、個別原子炉の再稼動について、原子炉内のひび割れが全て点検・補
修されたことが確認され、県民合意が得られたと判断されるまで、態度を留保するこ
と。
要望団体
いわきに風を 原発いらない いわき市民の集い
ストップ!プルトニウム・キャンペーン 脱原発ネットワーク・会津
脱原発福島ネットワーク 福島原発30キロ圏ひとの会 双葉地方原発反対同盟
連絡先:脱原発福島ネットワーク
いわき市鹿島町久保於振1-2
TEL・FAX:0246-58-5570
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