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★原発のない社会を目指すネットワーキングニュース★ アサツユ ☆2003.02.15 第139号☆
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精度の低い超音波探傷検査による健全性評価を見直せ!
安全と信頼なき停止炉の運転再開はありえない
●超音波探傷検査(UT)は、検査精度の低さが問題になっています。UTは、原子
炉の安全上重要な圧力バウンダリーである再循環系配管等のひび割れの深さを測る唯
一の非破壊検査で、その測定結果はひび割れの進展予測の土台となってきました。東
北電力女川1号機では、再循環系配管の肉厚約37ミリに対し、UTではひびの深さ
は1ミリ、部分切り出しによる内面研削の実測値は8.5ミリという実態が明らかに
なりました。これは市民グループの追及によって判明したもので、原子力安全・保安
院も検査の信頼性対策を始めました。健全性評価の前提となるUTの検査精度に赤信
号が灯ったことは、安全の確保にとっては重大問題です。
●東京電力は、UTで見つかった第二原発3号機再循環系配管ひび割れの深さ測定の
ために、配管の「切り出し」による追加調査を行っています。これは全原子炉に水平
展開する必要があります。また、SUS316Lのひび割れの進展予測について、実
際がどうであったか検証し、進展予測の際の材質と実験結果や依拠した研究結果につ
いても情報公開すべきです。
●東京電力は、福島第一1〜5号機はすでに再循環系配管を交換済みで安全は確認さ
れたと強弁していますが、それは10年間で全溶接線の25%を検査してひび割れが
確認された一部に限られています。シュラウドは10年間で全溶接線を検査しても、
再循環系配管は10年間で全溶接線の25%しか検査しないのは、おかしなことで
す。ひび割れの続出は、全ての再循環系配管接合部の総点検の必要性を示していま
す。
●UTの結果では、ひびの深さを誤る可能性がある以上、運転再開の大前提となる安
全確認の信頼性が崩れています。いま東京電力は、しきりに福島第一・3号機が「3月
中に再稼働可能だ」と発言しています。しかし、いま必要なことはUT結果の信頼
性、点検方法の妥当性・信頼性を徹底的かつ厳正に検討一から見直すことです。ひび
割れを放置して原発の再稼動はありえないことを肝に銘ずべきです。安全点検と確認
は、信頼回復の前提条件です。
インフォメーション
「チェルノブイリの祈り」上演実行委員会
2月19日(水)・3月5日(水)午後6時30分 いわき市文化センター
エネルギー政策市民検討会・世話人会 2月22日(土) 午後2時 郡山市 郡山
教組会館
東京電力交渉
3月5日(金)午後1時 大熊町 第一原発 サービスホール
東電不正告発、東京地検が一括して捜査始める
2.13東電交渉―再循環系配管損傷検査と超音波検査の精度問題
呆れた「情報公開」、配管の全溶接線数と検査数を公表せず
東京電力は、県内の5市民グループが、1月20日に提出した「再循環系配管損傷の
検査除外及び検査精度等に関する公開質問状」について、2月13日、第1原発サー
ビスホールで回答しました。これは、1月24日に回答を求めていたものです。市民
側からは5名が出席、東電からは福島第1、2の両広報部から6名が出席しました。
ここで、東京電力は、プレスリリースで欠落し安全軽視を指摘されていた福島第二・
1号での再循環系配管検査の実施を認めました。
1、福島第二原発1号機の再循環系配管
1) なぜ「原子炉冷却材再循環系配管の健全性を確認するため、配管溶接部の超音波
探傷検査」をしないのか。
2) 応力腐食割れ(SCC)対策材であるSUS316LC材を使用しても、ひび割
れが発生しているにもかかわらず、今回検査をはずした理由は何か。
3) 柏崎刈羽4号の検査項目にあり、福島第二・1号にないが、安全性の軽視では。
回答:検査をします。範囲は現在検討中。プレスリリースには出さなかったが、以前
からの方針だった。情報公開上は、だすべきだった。(再質問に、苦しい答弁)
2、他の再循環系配管
1) 福島原発の他の再循環配管の調査はどうなっているのか。溶接線数と検査ヶ所
数、管材の材質と熱処理の有無を示されたい。
回答:1F-1〜5は取替済み。2Fは交換なし。溶接線数と検査個所は答えられない。
技術部が公表できない。次回報告する。熱処理は1F-6、2F-1で実施。(なぜ公表
できない)
2) 平成7年以降とりかえ工事をして国に報告した各号機の継手のひび割れ数値を、
超音波探傷検査(UT)及び浸透探傷検査(PT)、内面研削それぞれ三点について示さ
れたい。
回答:UTは昨年9月20日に国に報告。PTと内面研削はしていない。2F-3で初めて
「切り出し」検証をしている。継手63箇所中41で検査、9継手に42ヶ所のひび
割れ確認した。
3) 建設時に高周波熱による応力緩和等のSCC対策を行っていないことが、ひび割
れを多発させてしまったということか。
回答:国の健全性評価委員会で評価している段階。ひびの原因究明中。分析近々出
る。
3、超音波探傷検査(UT)の精度
1) 東北電力女川1号機の再循環系配管検査のUTの結果がPTと内面研削の結果と大き
く食い違い、その精度に疑問がもたれているが、福島原発ではどうか。
回答:精度は実績と比較している。数ミリから10ミリの誤差は今までにもあった。
原因究明中。国の健全性評価委員会で評価をまつ。福島のは、まとまり次第公表。
2) UTの精度が低いことは、健全性評価の前提となる検査とその評価自体の信頼性が
低いことになり、安全の確保にとって大きな問題ではないか。
回答:国の健全性評価委員会で検討中。まとまり次第公表。
県内の5市民グループと首都圏の福島老朽原発を考える会は、2月14日、福島県庁で原
発安全対策グループの村田リーダーらと面会して、県知事宛の要望書を提出しまし
た。村田さんらは、2月10日の知事発言「運転再開を言及する段階ではない」という
県の基本スタンスについて話しました。再循環系配管や超音波探傷検査の精度問題に
ついては、「2月18日の国の健全性評価委員会を注目している」とした上で、国が維持
基準先取りのために、あたかもひび割れ放置運転が以前から合法であったとする証明
として、2F-3シュラウドの強度評価を平成13年9月の県など自治体に通知したこ
とをあげていることについては、「この件を取り立てて(ひび割れ容認の)例に挙げ
るようなものではない」「中間とりまとめを本にまでして幅広い国民的議論を要請し
ている」と県のスタンスを述べました。安全協定については、「協定の前提である信
頼関係がいま失われている」とし、見直しは関係改善後としました。
【資料】
福島県知事 佐藤栄佐久様
原子炉の再循環系配管接合部の総点検と超音波探傷検査の精度及び国の健全性
評価等に関する要望書
要旨
1.県は、東京電力に対し、全炉の再循環系配管接合部の総点検を行い、第2原発3号
機での「切り出し」による実測値や進展解析等の調査を、全炉に水平展開するよう求め
ること。
2.県は、国・東京電力に対し、超音波探傷検査の結果と点検方法の妥当性・信頼性
を徹底的に検証し、精度の低い超音波探傷検査を基礎にした健全性評価は見直すよう
求めること。
3.県は、独自の原子力保安体制の確立に取り組み、東京電力との「安全確保に関す
る協定」を改定補強すること。具体的に、@事前予告なしの立ち入り調査権、原記録
の提出や必要個所の撮影等閲覧持ち出し権の確立。A調査結果に伴う改善勧告権の確
立。B安全確保技術連絡会安全対策部会の改組によるチェック機能の強化、批判的な
学識経験者の委員への指名。C住民による調査請求権の容認。D労働者被曝低減の追
加。E違反時の罰則規定の追加。
4.県は、安全性の検証と県民の信頼回復がないまま、停止炉の運転再開に同意しな
いこと。
理由
1.原子炉再循環系配管接合部の総点検について
東京電力は、一連の原発損傷隠し事件で、原子炉の安全上重要な圧力バウンダリーで
ある再循環系配管等のひび割れについて、昨年9月、過去の定期点検でひび割れの兆
候を発見しながら、国に報告せず情報隠しを行い、国民世論の厳しい批判を招きまし
た。1月7日から始まった福島第二・1号と柏崎刈羽4号の定期点検で、相次いでひ
び割れが発見された再循環系配管が、柏崎刈羽4号では検査項目に入っているにもか
かわらず、福島第二・1号では公表されませんでした。2月13日、東京電力は、私ど
もの質問に答えてようやく、福島第二・1号でも検査を行うと明言するに至りました
が、追及されねば情報公開しないという東京電力の情報隠しの企業姿勢は変わってお
らず、住民軽視の身勝手なものです。東京電力は、福島第一1〜5号機はすでに再循
環系配管を交換済みで安全は確認されたと強弁していますが、それは10年間で全溶
接線の25%を検査してひび割れが確認された一部に限られています。再循環系配管
の方がシュラウドより安全上重要性は高いはずなのに、シュラウドは10年間で全溶
接線を検査しても、再循環系配管は10年間で全溶接線の25%しか検査しないの
は、おかしなことです。ひび割れの続出は、再循環系配管の全溶接線の点検が必要な
ことを示しており、東京電力は、全ての再循環系配管接合部の総点検をすべきです。
また、超音波探傷検査で見つかった第二原発3号機再循環系配管ひび割れの深さ測定
のために、配管の「切り出し」による追加調査を決めましたが、これは全原子炉に水
平展開すべきです。福島県民は、昨年の不正事件以来、シュラウドと再循環配管につ
いては、東京電力がすべて点検するものと思っており、機器の点検による安全確認
は、信頼回復の前提条件です。福島県として事業者に対し強く求めていただきたいと
ころです。
2.超音波探傷検査の精度について
超音波探傷検査(UT)は、原子炉の安全上重要な圧力バウンダリーである再循環系
配管等のひび割れの深さを測る唯一の非破壊検査であり,その測定結果はひび割れの
進展予測の土台となってきました。ところがいま、検査精度の低さが、安全上の大問
題になっています。東北電力女川1号機で再循環系配管の肉厚約37ミリに対し、U
Tではひびの深さは1ミリ、部分切り出しによる内面研削の実測値は8.5ミリとい
う実態が明らかになり、原子力安全・保安院も検査の信頼性対策にのりだしました。
これは、健全性評価の前提となるUTの検査精度に赤信号が灯ったことで、安全の確
保にとっては重大問題です。いま必要なことは再循環系配管のUT結果の信頼性、点
検方法の妥当性・信頼性を徹底的かつ厳正に検討し直すことです。また、SUS31
6Lのひび割れ深さの進展予測について、実際がどうであったか、東京電力はしっか
りと検証し、進展予測の際の材質と実験結果・依拠した研究結果についても情報公開
すべきです。県としても精査し事業者に強く求めていただきたいのです。
3.国の健全性評価について
超音波探傷検査の精度に疑問がもたれ、維持基準と健全性評価の前提となる検査と評
価それ自体の信頼性が低く、安全の確保にとって大きな問題となってきました。東京
電力は、原発の運転再開にむけ「できるだけ多く、できるだけ早く」とし「国の健全性
評価委員会や地元の判断を仰ぐ」としています。しかし、不正事件で停止中の全原子
炉のシュラウド等についても、超音波探傷検査を基礎データに健全性評価が行われて
いる以上、これで安全だといわれても、信用できないのは明らかです。超音波探傷検
査及び目視検査の精度や方法について一から見直しが必要なときに、東京電力がひび
割れを放置して原発の再稼動めざすとは、福島県民を愚弄するにもほどがあります。
超音波探傷検査では、ひびの深さを誤る可能性がある以上、運転再開の大前提となる
健全性評価における安全確認の信頼性が崩れているのです。県として、国に対し、超
音波探傷検査の精度や方法、それに基づく健全性評価のあり方自体の見直しを求めて
いただきたいのです。
4.ひび割れ放置運転についての法令の適用について
発電用原子力設備にひび割れ等がある場合に、原子炉の運転が、現行(改正電気事業
法施行前)法令下で許されるのかどうかを問い質す国宛質問主意書に対し、国は、ひ
び割れを放置しての運転は以前から合法であったとの見解を、答弁書に記していま
す。国は答弁書において、技術基準(告示501号)にある「材料規格」と「構造等
規格」のうち、「使用時の発電用原子力設備については、材料規格に係る規定は適用
されず」としています。これは、シュラウド等に「材料規格」を適用し、ひび割れを
放置しての運転は許されないと理解していた東京電力が誤っていた、との立場に立つ
ものです。県は、国のこのような見解について説明を受けていたのでしょうか。告示
501号の「構造等規格」にはひび割れについての評価方法や評価基準がないことは
国も認めています。であればより厳しい「材料規格」に従うべきというのが、安全側
に立つということではないでしょうか。答弁書では「平成十三年八月に東京電力株式
会社(以下「東京電力」という。)から経済産業大臣に対して、東京電力福島第二原
子力発電所三号機の炉心シュラウドにき裂があるが、当該シュラウドはき裂が存在し
ていても十分な構造強度を有している旨の報告がなされたことを受け、同年九月、経
済産業省において、東京電力の当該報告は妥当なものであり、当該炉心シュラウドの
き裂は安全上問題とならない旨の判断を公表するとともに、公表した内容を原子力発
電所が設置されている地方公共団体に通知したところである。」と記載しています
が、国及び東京電力はこれまで、機会あるごとに日本の原子力は常に新品同様に整備
してあるから安全である、と説明してきた内容と全く異なるもので、県の見解とも内
容を異にするではないでしょうか。これまで、県は国から、ひび割れを放置しての運
転が合法であるとの説明を受けたのでしょうか。この通知を受けた際、これを、ひび
割れを放置しての運転を容認するものと受け取ったのでしょうか。国が今になって、
ひび割れを放置しての運転は昔から可能であったと言い出すのは、「維持基準」整備
前に、これをなし崩し的に合法化し、ひび割れを放置して運転再開を早々に行うため
のものと考えられます。強引な法解釈の変更による、なし崩し的なひび割れ放置運転
の合法化は法治国家の基礎を危うくする行為です。県としての見識を示していただき
たいところです。
5.原子力保安体制と安全協定改定について
一連の不正事件に関連して、知事は、原発の安全確保や立地地域との信頼関係を国と
事業者が自ら裏切ったとの認識を示しました。「維持基準」を法制化して、ひび割れ
放置運転を合法化する国と東京電力の姿勢は、県民の安全・安心への願いとかけ離れ
ています。あらためて、県民の安全を守る立場から、国に対し原子力保安体制の根本
的見直しを強く求めるとともに、県独自の取り組みと東京電力との安全協定の改定補
強をもとめる次第です。
2003年2月14日
原発いらない いわき市民の集い ストップ!プルトニウム・キャンペーン
脱原発ネットワーク・会津 原発福島ネットワーク
福島原発30キロ圏ひとの会 福島老朽原発を考える会
| く ぬ ぎ 平 た よ り 第29回 タッペ 古川眞智子 |