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 カーブトレーサの製作

 はじめに

 またまた、寄り道をしてしまった。あるいは寄り道ではなく、ふと思いついて横丁の角を曲がって路地裏に入ってみたら、袋小路に迷い込んでしまったか?しばらく抜け出せなかった。テルミンを考えている時に、音量調整用に電子ボリューム付AMPのICをWeb上で探していたら、見つけたHPにカーブトレーサの製作記事があって、フーーン、コンナテイドデデキルンダァ・・・・デモマァ、どうせ作るならNPN、PNPトランジスタ、Nch、PchFET、定電圧ダイオードも普通(?)のダイオードも測定できるものをと欲張り過ぎて、袋小路に迷い込んでしまったようだ。
 カーブトレーサって、それを作ってどうしようとするのか?作った本人も分からない。作る過程が楽しい。アァデモナイ、コウデモナイ、グダグダない頭を絞って実験したり、オバサン達に混じって100円ショップでケースにする密閉容器を物色したり、自作のガラクタCNC基板製作機で基板を作って、ハンダ付けの匂いに酔いしれている間が至福の時間だ。出来上がってしまうと、フーーン、コンナモノカァと何となく満足して、あとは作ったものにホコリが被る。進歩がないナァ!
 と言いながらも、もう作ってしまった以上そんなことはどうでもイイ!! なにはともあれマズは、カーブトレーサだ。


 仕様

 仕様と言ってもすでに書いてしまったので、繰り返しても・・・・と言いながら。
回路はできるだけ簡単にしたい。(金をかけずにということでもあるわけで) NPN、PNPトランジスタ、Nch、PchFET(これは、エンハンスメント形、ディプレッション形も含めて)さらに定電圧ダイオードも普通(?)のダイオードも測定したい。このためには正負電圧を印加する必要があり、ディプレッション形FETを考慮すれば、ソース端子よりゲート端子の電圧を低くする必要がある。ダイオード達には正方向だけでなく、往復ビンタを食らわせたい!ベース-エミッタ(ゲート-ソース)間電圧は直接それぞれの端子に印加したい。Web上で簡易と謳っているカーブトレーサを見ると、電流検地用の抵抗を含んでベース電流(ゲート電圧)を供給している回路が多いが、これではベース電流(ゲート電圧)が一定にならない。 このような簡易な回路なら電源は1系統のみで済むが、いかに簡易と言ってもこれは譲れない。ここまで考えると、電源は正負電圧の2系統(GNDが共通でないモノですヨ)持たなければならない。これは困った。 電源をトランスで構成するにしてもスイッチング電源にしても、電源だけでかなり大きく(高価格にも)なりそう!
 オペアンプを使ってどうにかしようと考えたついたのがこれだ!!!ワン、ツウ、スリー・・・・
2つのオペアンプの出力間を抵抗で接続し、出力電圧差を被測定素子に印加すれば単電圧回路でも正負のテスト電圧を得ることができる。ということでコレクタ-エミッタ(ドレイン-ソース)用とベース-エミッタ(ゲート-ソース)用に同様な回路でボリュームを廻すだけで正負電圧を発生させるようにした。下の写真でわかるように、ボリュームを廻すと約±12Vの三角波が発生する。ベース-エミッタ(ゲート-ソース)用も同様にボリュームを廻して、正負の階段状の電圧を発生させている。 で、電源は正電圧電源を2系統。
 Rail-to-Railのオペアンプでもそれが出力側だけの場合、入力電圧を電源電圧いっぱいまでは印加できない。0V付近まで入力できても、Vdd側にはVdd-2V程度までだ(もちろん、オペアンプによってこの値は変わるので、データシートをよく確認しましょうネ)。三角波発振部の基準電圧を電源電圧の半分より少し低い電圧にしてある。これは上に書いたように三角波の低いほうをできるだけ0V付近までにして、有効な出力電圧範囲をできるだけ大きくするためだ。もちろん、入力側もRail-to-Railのオペアンプを使えばいいのだけれど、"大抵のオペアンプは出力のみrail to railがほとんどで、入力もrail to railというのは滅多にありません"とどこかの掲示板に書いてあったので・・・・
 スイッチが1つ付いているが、これはNPN(Nch)とPNP(Pch)でコレクタ-エミッタ(ドレイン-ソース)間電圧が最小になったとき、ベース-エミッタ(ゲート-ソース)間電圧を階段状に変化させるためだ。カウンタ4520のカウントタイミングを三角波の半周期分ずらしている。下の写真を見てもらえば分かる(かな?)。でもマァ、このスイッチは極論するとなくてもイイかも?オシロスコープに波形を画かせたとき、画面にゴミがほんの少し出る程度なので、どうでもイイやと思えばスイッチはなくてもOK。
 仕様というか回路の説明はこれくらいで、ドキュメントは回路図がもっとも大事でこれがすべてを説明しているから、言葉より回路図をじっくり見ましょう!回路図を見ても分からない人は作らない!ってエラソーに言ったりして。分からない人が作ってもしょうがない治具ですから・・・・アッ、それからこれは小信号用ですヨ。オペアンプの出力のみで、電流ブーストしてませんから、〜15mA程度までかな?

NPN被測定素子印加電圧とベース( or ゲート)印加電圧
NPN被測定素子印加電圧とベース( or ゲート)印加電圧
PNP被測定素子印加電圧とベース( or ゲート)印加電圧
PNP被測定素子印加電圧とベース( or ゲート)印加電圧

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 製作

デバッグ中

デバッグ中

100円ショップのケースに入れてみました

100円ショップのケースに入れてみました

ダイオード測定

ダイオード測定

6V定電圧ダイオード測定

6V定電圧ダイオード測定

NPN形2SC458測定

NPN形2SC458測定

猫がデバッグ中?

猫がデバッグ中?

 カーブトレーサ回路図

 eagleで回路図を書いて、パターンを引いて、パターン図をWinTopoとNCVCと自作のソフトで手直し。自作のガラクタCNC基板製作機で基板を作る。部品を穴に差し込んでハンダ付け。アァ、オワッタオワッタ!?そうだ、ケースだ、100円ショップで密閉容器を探したがあまりカッコヨクナイ。カードケースなるものが寸法が合っていたのでこれをケースにした。密閉容器よりフタの開け閉めが容易で、持ち運び用の取っ手が一体成形されていて、それなりにカッコイイ。ハンダゴテで穴を開け(プラスチックが焼けてクサイ!)、リーマで穴径を広げてスイッチやボリュームを取り付ける。基板やトランスは例のごとくグルーガンでケースにベタベタと固定。デキターッ!メデタシ!メデタシ!
 アァ、そういえばトランスはハードオフで買ったトランス式のACアダプタをカラ割りして取り出したものを使っている。2系統の電源が必要なので2つ買ってきたが、たまたま出力側が2巻線のものがあったので、1つはムダになってしまった。ところで、どこかの掲示板に5V1AのACアダプタを使ったら、まともに動かないので調べてみたら7Vも出力されていたと出ていた。トランス式は定格電流を流したとき定格電圧になるように作ってある。無負荷時や定格値より小さい電流では、出力電圧が高くなるので注意しましょうネ。スイッチング電源はこういうことはないので安心です。トランス式とスイッチング式の区別はアダプタを持ったとき、重いのがトランス式、軽いのはスイッチング式、イイカゲンなようだがこれで正しいと思いますヨ。
 さて測定した結果は写真を見てください。写真の上下が逆だって?そう逆ですヨ。このオシロスコープ、XYモードにするとYchがリバースできない。単独ならリバースできるのに、XYモードにすると元に戻ってしまう。このため画かれる波形が上下逆になってしまう。ウーーン、こんなのってあり?それともまともに取説を読んでいないオジサンが知らないだけかな?メンドウなので、写真を上下逆にして公開することにしたという訳で、ご了解を!
 測定方法を少しだけ紹介。ダイオードは測定端子に接続して、VR1(5KΩ)をグリグリ回せばXYモードにしたオシロスコープ上に波形が表示される。VR1(5KΩ)をグリグリ回すだけで往復ビンタを食わせているので、逆電圧印加時の波形も画かれるが、マァ、それほどオモシロイというほどではないのは当然。
 トランジスタ、FETの場合は、被測定素子を取り付けないで、オシロスコープもXYモードにせず、X端子とVB端子の電圧をオシロスコープで見ながら、VR1(5KΩ)でコレクタ-エミッタ(ドレイン-ソース)間、VR2(10KΩ)とVR3(5KΩ)でベース-エミッタ(ゲート-ソース)間の電圧と極性を被測定素子の特性に合うように調整する。VR2(10KΩ)は極性を、VR3(5KΩ)はベース電流(ゲート電圧)を調整する。(正直言うと、このベース駆動回路は良くないナァ、一応測定はできるけど・・・・)
 調整後一旦電源をOFFした後、被測定素子を接続して電源をONし、XYモードにしたオシロスコープでX、Y端子を観測する、以上。
 年寄りの老婆心をひとつ。電源をONしたまま半導体素子の取り付け取り外しはやめましょうネ。”耐圧が8Vだから大丈夫・・ウンヌン・・・”などとバカなことを平気で言う人がいるけど、良い子はマネをしないように。

ディプレッション形FET2SK30測定

ディプレッション形FET2SK30測定

PNP形2SA1015測定

PNP形2SA1015測定

改良したCNC

改良したCNC

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 纏め
 纏めッタッテ、別に纏めるようなこともないワナァ?!電流ブーストしていないので、あくまでも小信号用でしかない。測定前に調整が必要で、取り扱いがメンドウと言えば確かにそうだ。もう作ってしまった以上、言い訳はするな!!って自分に・・・・・
 ところで、上にカーブトレーサには関係ない写真があるが、これは自作のガラクタCNC基板製作機を改良したので、チョットだけ紹介。スピンドル部をルーターに換えました。大枚6000円だったか?折角作った速度制御部は取り外しました。それと絶縁されているので、Z軸の初期位置を決めるとき刃物の先とCNC筐体間をクリップ付リード線で接続しないと、大変なことになる。ドリル刃を一本折ってしまった。オヤオヤ、タイヘンデシタネェ!?

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