Q1 絵を描くとき,図鑑を見せて描かせてもよいか。

 6年生を担任しています。「花と学校」のテーマで,酒井式を追試しました。花を描いているときのことです。A子が図鑑を持ってきて言いました。
「先生、本物じゃ,描きたい花がないから、図鑑の花を描いてもいいですか?」
 私は一瞬困りました。しかし、次のように判断しました。

 ここで、この子を否定すると、A子の意欲がなくなる。実物で書かせたいがここは、許すことにしよう。

 ところが、できあがった作品を見ると,何か不自然なのです。やっぱり無理にでも,実物を描かせたほうがよかったのでしょうか。

A1 実物を見て描かせた方がいい。

 ただし、それはやっぱり原則でありまして、図鑑とかそういうところから持ってきても、いい場合もあります。しかし、先生方は,一応実物を描かせた方がいいとお考えおきください。
 理由は、実物を見て描いた花と、図鑑にある花とを描いた場合とでは、花の芽、花の命と言ったら変なんですが、実物を描いた方が出るのですね。
 なぜ出るのかと言われてもね、私は答えない。実は出るから。ほんとなんですね。私の今までの40年に及ぶ絵の指導の中で、それは一応確認できる。
 これは、おそらく,立体を見て、生きた花を見て描いている描き手の気持ちが生きた花というものに寄り添っているからだろうと思うのですね。
 図鑑に平面に表されたものを平面に写す場合は、形だけを写そうとしている。命に関係ない、という気持ちで描くから、何か不自然に、この先生がおっしゃるように不自然に描くんですね。
 子どもたちが生き生きとした線を引くのは、その立体を平面に表そうとするときに、立体から感じ取るものを感じ取って描いているからなのですね。平面からは,命とかそういうものを感じ取るよりは,平面に直された形を引き写そうとする。ただ、引き写そうとしているから、生きてこない。そう考えてよろしいですね。
 私ならもしですね。図鑑から写させる場合は、典型、図鑑というのは典型を描くのですね。一番花らしい,花の形になっています。でも、写真なんかだと、いろいろあるのですね。で、たとえば、こういうふうに重なっている、こういう部分があったとします。ここを描きなさいと言う。必ずこれは描くんですよと。すると、これがね、これとこれの関係。これ花ですが、関係の中で子どもたちが見ますから、多少は生きてくることがありますね。
 だから、断固としてここはですね。「いや、ほんとの花を描きなさい。」と言ってやるのがやさしいと思います。それが、やさしさ、むしろやさしさだと考えていいですね。

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