☆鉄兵伝説☆
釣り大会の巻


仙台にいた頃、俺の中で「バスフィッシング」がブームとなっていた。
友達と一緒にブラックバスを釣るのが楽しみで、ある日、仲間うちで
「釣り大会」を行った。この釣り大会が、跳んだ悲劇を巻き起こすとは、誰も予想していなかった。
仲間の4人は、それぞれ釣りに対しては全くの素人だ。
釣り大会前日は飲み会で、朝の3時まで飲み明かしていた。
「これじゃ、中止だなぁ」と思っていたら、朝6時に迎えに来た。
「マジかよ!寝てねぇよ!」と泥酔状態で釣り場へ向かった。
釣り場へ向かう途中、恒例の「朝の買い出し」を行った。
買い出し後、車へ乗り込もうとした時に、1台の車が通りすぎた。
典彦(仮名)が、「あっ!俺の友達だ!」と叫んだ。
俺と慎二(仮名)、誠治(仮名)は、その車の運転手と同乗者を見ていた。
「典彦、おじちゃんとおばちゃんだったぞ!」と言うと、彼は「あいつ、老けているんだ!」などと返してきた。
3人は、絶対違うと確信していた。
車に乗り込み走らせていると、先程の車が見えた。
典彦は「おっ!」と叫び、さらにスピードを挙げ、その車と並んだ。
典彦は運転中(左ハンドルで、追い越し斜線に入っていたので、目的の
車は左にある。)
俺たちは、典彦より先にとなりの車が、おじちゃんとおばちゃんであることを確認できた。典彦は確認もせずにいきなりクラクションを鳴らし、おまけに左手を上げて「ヨッ!」と言った。
「おい、隣の車、おじちゃんだぞ!」と言ったことで、ようやく典彦は見た。
「あっ!違った。やべぇ〜!」と逃げるようにスピードをあげた。
だが、前方は赤信号。彼は停止線より1台分あけて車を止めた。
「なんだって、半端な所じゃない!」と言うと、「並んだら嫌だからさぁ!」
と相変わらず気が小さい典彦であった。
そんな中、例の車がやって来た。「来た、来た、来た!」と焦る典彦。
その時、典彦が叫んだ。「おうっ!止まったぞ!」
みんな一斉に後ろを見た。
そこには、運転手が車を降り、車を点検する姿が見えた。
「やべぇ、先程のクラクションで車に異常があると思ったんだ!」と
焦りながら典彦は言う。
みんなは一斉に大笑いをしてしまった。
すみませんでした。おじさん!
さて、釣りの話に入ろう。
先程のクラクション事件で、酔いが覚めたみんなであった。
朝ご飯を済ませると、さっそく開始。
朝日を浴びながら、絶好の釣り日和。
その時、典彦が叫んだ!
「やべぇ、リール忘れた!」
リールがないというのは、釣り師としては失格である。
誰も余分なリールの持ち合わせはない。
典彦は考え、慎二に糸を貰っていた。
何をするのかと思ったら、糸にルアーを付けて手で投げて、それを手で引き戻すといった古来の釣り技法を始めた。
みんなは、絶対釣れないと確信していた。
古来の釣り技法でやっていた典彦であったが、3回投げたところで終了してしまった。
誠治は、新しいルアーを買って来て上機嫌。
通常のルアーの倍はある大きなのを使って大物を狙うのか!
よく見ると、ザリガニが半分で蛾らしきものが半分。
どういうセンスで購入したのか、みんな不思議そうだった。
誠治のNEWルアー第1投。重いのでかなりの飛距離が出たのだが
かなり大きい「ドボ〜ン」という音で、魚が逃げてしまいそう。
そんな、みんなの顰蹙の視線をものともせずに、投げ続けた。
2投目を行ったとき、ザリガニの部分がちぎれて飛んで行った。
みんな大笑い。「ちくしょう!俺の¥800(ルアー代)が¥400に
なっちまった!」と叫ぶ誠治であったが、慎二が冷たい一言。
「おい、おい、半分なくなったら、使い物にならねぇよ!」
まったくの意見であった。
「まったくよ〜!俺と鉄兵が大人にみえるよ!」と慎二が言っていた時俺に当たりが来た。
「おっ! バスがかかった!」と歓喜のあまり声が出た。
「小っちぇ〜!」釣り上げるとすぐに誠治が来て計測を始めた。
大会ルールとしては、15センチ以上が対象となる。
誠治は、大きな声で「只今の記録、13センチ。対象外」と喜んで
言った。俺はムスッとした。「ちぇっ!釣れてないだろうが!」
と言った時、スルッと足を滑らせ「ドボーン!」ダムに落ちた。
俺は上半身だけが水面から出ている状態で立っていた。
すぐに上がろうと思ったが、足が抜けない!
焦ってくると、ますます足が沈んでいく。
「助けてくれ〜!」と巨漢の誠治を呼び、手を引っ張ってもらった
さすが、「力持ち」俺をなんなく引っ張ってくれた。
−脱出成功−
「ありがとう、助かったよ」というと、誠治は照れくさそうに言った。
「何か、映画のワンシーンのようだったよ」。
すかさず、慎二が「違うだろう、ファイト!一発!リポビタンDだろ」
そんなことで盛り上がっている時に、典彦が大笑いしながら言った。
「おい、誠治、ケツ破れているぞ!」全員で爆笑の中、誠治はつぶやいた。
「これも、勲章の証さ!」
いつまでも、ムービースターの余韻に浸っている誠治であった。

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