☆鉄兵伝説☆
ダブル?の床
高校2年の春の大会は最悪の日となった。
我が部員は現在5名。うち一人はケガの為、大会には出場できない状況。
4人で望む大会は初めてであった。その出来事に追い討ちをかけるように、
大会当日は期末テストの最終日でもあり、我が部員は午前中テストをこなしてから、午後大会へという過密なスケジュールを余儀なくされた。
チームの大会への参加目標はひとつあった。それは3位入賞。
過去の大会では3位入賞をキープ。我々はそれを崩してはいけなかった。
大会参加チームは3チーム。だが、出場すれば3位をキープという訳ではない。
全種目に3名以上出場しなければ棄権とみなされ3位入賞も剥奪という状況であった。
俺は、昨年の秋に盲腸で手術していたため、あまり練習はできなかったので「鞍馬」、
「平行棒」、「跳馬」の三種目のみ参加予定で、残りの「床」、「鉄棒」、「吊り輪」は
練習さぼり常習犯のYにお願いし、他の2名が全種目をこなす。
それで、全種目3名以上出場=3位入賞のシナリオが完成していた。
順風満帆で大会へ出場できるはずであったが、さぼりのYが大会前日に「鉄兵が全部出なければ、俺は出ない」といきなり言った。
練習もしていない残りの3種目。俺は非常に焦っていた。
大会当日を迎えた。
まずは、午前中のテスト。
その日のテストは、一番苦手な「微分・積分」。午後の大会への焦りと不安を持ってテストを始めた。
まったく、解らなかった。テストが・・・。
名前を書いてから1時間は、十分すぎる時間だったが、終わってみると「名前」だけで白紙の答案だった。
確かに、大会の不安とかあって考える集中力はいつもよりはなかった。
でも、自分の汚さにこの時、気が付いた。
1問も解ける問題がなかった。自信がないけど記入した答えはいくつかあったが、
どうせ、はずれてるよなぁ。と思って時間終了前に全部消して白紙にした。
例え、0点でも理由になるよなぁ。何か書いてあるとそう思わないよなぁ。と思い白紙で提出した。
テストを終えて大会へ向かった。
さぼり犯Yのおかげで俺は全種目出場が決まった。そして、さぼり犯Yも・・・。
ふたりの「床」種目は、はずかしすぎる内容であった。
まずは、Yから・・・
Yはいつでも格好つけたがる奴で、格好マンといわれていたくらいだ。
奴は、練習に来ないのにもかかわらず。大技をやろうとしていた。
一応、大技みたいなのをやっていたが、一人バックドロップ状態が続いたので、館内は大笑い。
そんなの雰囲気の中、次に俺が望んだ。
体操競技というのは、規定通りに行わなければならない・・・。
一応、規定通りのルートは通った。
まずは、規定では左端から右端の対角線をバック転×2、後方宙返り(バック宙)。
このルートを俺は、ただ対角線を走っただけ。一応、タイミングが合わないしぐさをした。
(小細工使用:首をかしげたりした)
右端から左端への直線。飛び込み前周り、止まって安定(静止ポーズ)。これは、難なくこなした。
でも、先程の小細工も次からの演技でなんの意味もなくなる。
ここからが、ひどい!
左端からの直線。規定では、側転からバック転×2、止まってY字。
そこを俺は、側転からのバック転へ見せかけて後ろ周り2回、起き上がり状態にする為になぜか倒立(逆立ち)をしてY字。(一応、要所要所は締めている?)
このあとの規定は、対角線に向かって助走をつけて前宙(前方宙返り)。
俺には絶対無理だったので、助走を付けて途中で失速し前周り。
(一応、形は似ている?)
次の直線は、バック転×2。俺は側転を2回して距離を稼いだつもりが、端まで届かず。
側転おまけの1回。
最後に、対角線を助走しムーンサルトでFinish。俺には絶対不可能だったので、助走を
付けて、前方に手を付いて1回転し(展開という)体を反らした状態でFinish。
同僚も、笑いながら一応「よっしゃ!」と言ってくれたが、他校は誰も言わず・・・。
さぼり犯Yは、俺にこう言った。「あそこまではできねぇなぁ、かっちょわりー!」
俺は何も言えずにいた。
点数は、0.5点。なんとか、微分・積分とのダブル0点は免れた。
大会は無事終了したが、俺には「微分・積分」が気になっていた。
うれしいといっていいのかわからないが、学年平均28点。0点も多数でかなり難しいテストだったようだ。
「俺は大会前で緊張しちまって、テストどころではなかったよ!」と言い訳をしてしまった。
なんて汚い男なんだと自分で思った。